債権・動産譲渡

債権譲渡とは

債権譲渡とは、債権の性質そのものを維持したままで、その債権を他人に譲り渡すことです。

債権流動化などの目的で、法人が多数の債権を一括して譲渡するような場合、債務者が多数となってしまうため、全ての債務者に民法所定の通知などの手続を取らなければなりません。

しかしこのような場合、手続・費用の面で負担が大きく、実務的に対抗要件を具備することは困難となります。

そこで、そのような状況を改善するために出来たのが、債権譲渡登記制度です。

 

債権譲渡関係での主な改正点

・債務者の特定していない将来債権の譲渡
但し、上記の譲渡に係る債権譲渡登記の存続期間は原則として10年以内

・登記事項概要ファイルの創設
譲渡人の本店等の所在地を管轄する法務局等に登記事項概要ファイルを備えて記録し、商業法人登記事項証明書に直接の記載をしない

 

債権譲渡の際の注意点

譲渡禁止特約のある債権

譲渡禁止特約のある債権は、その名のとおり、譲渡をすることができません。
つまり、あなたの会社の取引先と第三債務者との間で、当該債権を譲渡しない旨の特約が為されていた場合には、その債権は譲渡できないことになるのです。
しかし、本来であれば、債権は譲渡できるものなので、その特約の存在を知らなければ第三債務者に対して支払を請求できる場合もあるのです。
最高裁判所の判例によれば、譲渡禁止特約のある債権の譲受人は、特約の存在を知らないことについて重大な過失があるときはその債権を取得できないとされています。

 

譲渡禁止債権

法的に譲渡を禁止された債権も存在しますので、この点にも注意が必要です。たとえば、民法においては扶養請求権が譲渡できないものとして規定されております。

 

第三債務者の信用調査

また、債権を譲り受けても、第三債務者が堅実で信用のおける債務者でなければ支払は困難になってしまいます。これでは意味がありません。
従って、あなたは第三債務者が十分な弁済資力を持っているのかどうか、信用のおける債務者なのかどうかを慎重に調査する必要があるでしょう。

 

第三債務者から相殺の主張をされないか

債権を譲り受けても、第三債務者があなたの会社の取引先に対して反対に債権を持っていた場合には、相殺の主張がされることがあり得ます。
従って、あなたとしては第三債務者の弁済の資力の調査のみならず、第三債務者があなたの会社の取引先に反対に売掛金等の債権を持っていないかの調査も行う必要があるのです。

 

動産譲渡登記とは

動産譲渡登記とは、登記により、動産の譲渡を公示することで、動産譲渡の担保化を図ったものです。
これまでは十分に活用されていなかったのですが、最近の企業における金融実務においては、動産を活用した資金調達の方法が注目を集めています。

動産を活用した資金調達の具体的な方法としては、企業が動産を譲渡担保に供して金融機関等から融資を受ける方法がありますが、動産自体は企業の直接占有化に置かれたままなのが通常です。

この場合譲渡担保に供したことが、外形的には判然としないため、動産を活用した資金調達が阻害されてきました。

そこで、このようなリスクをできる限り解消し、動産を活用した企業の資金調達の円滑化を図るため、法人(個人には認められていません)が行う動産の譲渡については民法の特例として、民法の定める対抗要件具備のほか、登記により対抗要件を具備することが可能となりました。

これが、動産譲渡登記制度といわれるものです。

 

動産譲渡登記の登記事項

「譲渡人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所」
「譲受人の氏名及び住所」
「譲渡人又は譲受人の本店又は主たる事務所が外国にあるときは日本における営業所又は事務所」
「登記の登記原因及びその日付」
「譲渡に係る動産を特定するために必要な事項で、法務省令で定めるもの」
「登記の存続期間」
「登記番号」
「登記の年月日」

 

登記の対象

法人が譲渡人である動産譲渡に限定。目的物が個別動産か集合動産(倉庫の在庫等)かは不問

 

登記の存続期間

原則として10年以内

 

登記事項の開示

登記事項の概要は何人に対しても開示。すべての登記事項は譲渡の当事者、利害関係人、譲渡人の使用人に対してのみ開示

 

登記事項概要ファイルの創設

譲渡人の本店等の所在地を管轄する法務局等に登記事項概要ファイルを備えて、登記事項の概要を記録し、何人でもこのファイルに記録されている事項を証明した書面(概要記録事項証明書)の交付を請求できる制度を創設

PAGETOP